【レビュー】佐々木敏の栄養データはこう読む! 根拠に基づく栄養学

 

こんにちは、ももじりです。

 

今回は、栄養関連の書籍をご紹介します。

 

この本、タイトルと表紙ですごく難しそうな印象を受けませんか?

栄養データ」なんて、聞いただけで、本をそっ閉じしてしまいそうな。

 

めたぼーくん

どうせ、化学式が理解できてないとダメでは…?

どうせ、小難しい生理学の話ばかりなんでしょ…?

 

なんて。

 

しかし、読んでみてビックリ。

著者の言葉や図解が非常にわかりやすいこと

 

そして、「食・栄養」という身近なテーマを取り扱っていること。

世の中にあふれる栄養情報に対し、科学的根拠を武器にザックザック斬り進む。

これらが相乗効果を発揮し、どんどん引き込まれます。

 



「佐々木敏の栄養データはこう読む! 」書籍データ

 

書籍データ

項目 データ
出版社(発行所) 女子栄養大学出版部
初版発行日 2015年4月10日
ジャンル 食事・栄養・健康
ページ数 335ページ
目次
  1. こんなにややこしい?!
    あぶらと脂質異常症の関係
  2. こんなに大問題?!
    食塩と高血圧
  3.  不思議がいっぱい!
    肥満問題
  4. 飲んべえ必読!
    お酒、なにをどれくらい、どのように飲むか
  5. 究極の健康食?
    地中海食から糖尿病管理まで
  6. あなた自身が試される!
    「栄養健康リテラシー」の時代
  7. ミニ・レクチャー
    疫学・栄養疫学とはなにか?
専門性
読みやすさ

 

ももじり

こんな人にオススメ!

  • お酒や食塩、身近な健康について知りたい
  • ダイエットに関する真実を知りたい
  • 栄養データの見方を知りたい

 

著者:佐々木 敏

佐々木 敏 (ささき さとし)

東京大学大学院医学系研究科社会予防疫学分野教授。

女子栄養大学客員教授。

京都大学工学部、大阪大学医学部卒業後、大阪大学大学院・ルーベンス大学大学院博士課程修了。

医師、医学博士。

国立がんセンター研究所支所、国立健康・栄養研究所などを経て現職。

いちはやく「EBN」を提唱し、日本人が健康を維持するために摂取すべき栄養素とその量を示したガイドライン「食事摂取基準」(厚生労働省)策定に貢献。

日本の栄養疫学研究において、中心的役割を担い続ける。

著書に「わかりやすいEBNと栄養疫学」「食事摂取基準入門ーそのこころを読む」(共に同文書院)ほか。

 

引用:佐々木敏(2015年4月10日)
『佐々木敏の栄養データはこう読む!
疫学研究から読み解くぶれない食べ方』
発行:女子栄養大学出版部

 

「佐々木敏の栄養データはこう読む!」のここが面白い

 

では、本書の特徴や響いたところについて触れていきましょう。

 

本記事は一部ネタバレを含みます

 

根拠に基づく栄養学、「EBN」

 

いきなり、横文字やめてほしいーー。

 

と思った方も多いかと思います。

しかし、本書の大切な主張でもあり、特徴です。

 

EBNとはevidence-based nutritionの略称です。

エビデンスベースドニュートリション。

つまり、「根拠に基づく栄養学」といった意味です。

本書は、疫学研究で得られた事実を基に独自の主張を展開していきます。

 

ももじり
難しく聞こえますが、読者に寄り添ったアドバイスが多く、「現代の様々な情報に振り回されるな」と、警鐘を鳴らしてくれます。

 

表やグラフなどの「栄養データ」が豊富

 

本書では様々な論文からデータを集積しています。

そして、データを可視化するには表やグラフが必要です。

 

本書はこれでもか!というほどに、表やグラフが多く盛り込まれています。

全体の1/3ページくらいはあるのではないでしょうか??

著者の佐々木さんも、巻末にて「本書の主人公は論文達だ」と語っています。

 

これらの表やグラフに対し、苦手意識がある方も多いでしょう。

しかし、安心してください。

シンプルな図解が多く、文章でもわかりやすく解説されています。

 

また、あらゆる論文で実践されている食事や健康状態の調査方法や、要因解析のポイントなど、専門的なことも非常にわかりやすく学べます。

 

ももじり

図解が語っている部分が多く、意外にも読むのが楽。

あっという間に、何十ページと読み進んでいることに気づきます。

 

栄養や健康に対する問いと結論

 

本書の進行スタイルであり、特徴の一つです。

各章のトピックの始めに「問い」があり、最後は「結論」でまとめられます。

 

これがあることで、読者は一気に当事者意識が芽生えます

 

自分の認識がいかに、間違っていたか。

メディアや商品の過大広告や表現に、踊らされていたかが浮き彫りになります。

 

これらの質問に正しく答えられますか??

  • トランス脂肪酸と飽和脂肪酸どちらに注意するべき?
  • コレステロールが「高い」「低い」長生きはどちら?
  • 健康問題、第一位はタバコ?第二位は?
  • 「そんなに食べていないはずなのに太る」のカラクリは?
  • 「速食いは太る」は本当か?
  • 「朝食をとらないと太る」はなぜ?
  • お酒に適量はあるか?
  • 怖いのはプリン体?ならばビールは禁物か?
  • 糖質制限と脂質制限やせるのはどちらか?
  • 研究費の出所は研究結果に影響する?

引用:佐々木敏(2015年4月10日)
『佐々木敏の栄養データはこう読む!
疫学研究から読み解くぶれない食べ方』
発行:女子栄養大学出版部

 

ももじり

気になる素朴な疑問も多いのではないでしょうか??

これらに対する、根拠ある結論が本書にはあります。

 

食を学び、楽しむ心がある

 

本書では、栄養をテーマとしていますが、実際に口にするのは「食事」。

世界各国の食事を題材に取り上げて、解説されています。

 

紹介される食事は、栄養はもちろん調理法や産地などにも触れられています。

歴史を紐解いて、リスペクトされているのです。

 

本書のスタンス

  • あらゆる食材や調理法を否定するものではない
  • 不十分な情報と、誤った認識を正していく

 

ももじり

著者の表現は、読んでいて食欲を掻き立てられます。

食事の素晴らしさを学べることも、本書の大きな魅力です。

 



「佐々木敏の栄養データはこう読む!」のまとめ

 

様々な「問い」に関する答えは、ぜひ本書を手にとって読んでみてください。

そんな、問いと答えの繰り返しの中で、本書が伝えたいメッセージがあります。

 

情報は正しく伝わらなければ意味がない

 

一つの食材がマスコミによって、「危険」とクローズアップされたとする。

すると、消費者はこぞってその食材を徹底的に避け、排除する。

その食材の「何がどのように危険」かも知らずに。

 

このように、極端な行動は「科学リテラシー」の低さの表れだと言います。

 

科学リテラシーとは科学情報の理解能力のことです。

我々が見たり、聞いたりする情報は、必ずしも誠意のある伝え方で発信されているとは限りません

 

ももじり

消費者側の正しい知識と、落ち着いた判断力が必要だと言われています。

自分の身を守るのは、最終的には自分だということですね。

 

きれいごとだけの情報には要注意

 

利益相反」という言葉があります。

一方の利益になると同時に他方の不利益になる行為」とあります。

 

つまり、研究結果において、情報発信側の「思惑」が関与すると正しい情報にはならなくなる。

ということです。

 

本来、研究とは、中立・公平の立場で行うものです。

しかし、研究資金が一部の団体から提供されていた場合はどうでしょう?

 

研究結果が、資金提供側に有利に働くようなものになる可能性があるのです。

実際に、研究資金提供元と研究結果の相関を示した調査もあるくらいです。

 

ももじり

最終的には、情報を受け取る側が、選ぶ目を養う必要があります。

きれいごとばかり伝えられている情報は、少し差し引いて受け取りましょう。

 

新しい情報に飛びつく前に

 

ここで、本文中のトピックを一つ。

2015年時点で、高血圧対策として、玉ねぎに含まれるケルセチンという成分が話題となりました。

 

それまで、高血圧対策には様々なものが研究されてきていました。

食塩、カリウム、野菜、果物など。

 

各対策で、実際にヒトを対象とした研究論文は、どのくらいだったのでしょうか?

アメリカの論文データベースでは、以下の通り。

 

高血圧対策の論文数

物質、栄養素、食品 論文数
ケルセチン 37
食塩 20298
カリウム 8771
野菜 1676
果物 1470

 

結果は、なんとも圧倒的です。

話題となったケルセチンの、何百倍ものエビデンスが食塩やカリウムにはあります

どちらに信憑性があるかは、一目瞭然でしょう。

 

このように、我々が一番参考にすべきはヒトを対象とした研究です。

そして、その指標の一つが論文数になります。

 

論文数は、多くの研究者の努力の蓄積です。

それを認識しておけば、どのような行動を優先するべきかははっきりします。

 

この例で言えば、「流行に乗って玉ねぎに偏るのではなく、減塩と野菜を多く食べることを意識しよう」となる訳です。

 

何が大切かを見極められる「科学リテラシー」を、ぜひ身につけたいものです。

 

ももじり

これは、疫学研究と食事の関係だけに言えることではありません。

本書は、全てのことにおいて、正しい情報の受け取り方を教えてくれる一冊です。

 


 

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